花いっぱいのバンクーバーを散策

FLOWER

バンクーバーやビクトリアは、冬でも温暖な気候に恵まれ、2月にはカラフルなクロッカスが咲き始め、水仙、桜、ライラックと次々と花盛りがつづきます。とりわけしゃくなげの美しさは世界的に知られています。英国の伝統を受け継いで、ガーデニングも人々の暮らしの大切な一部。町のあちこちで自然が大切に守られ、可憐な山野草も身近に感じられます。バンクーバーから車で1時間ほど東へ行けば、壮麗な山並みに囲まれた広大な渓谷が現れ、それを越えると果樹園やワイン用のブドウがたわわに実る半砂漠地帯が続いています。また海岸沿いに北へ向かえば、深い針葉樹林の 森がどこまでも広がっています。地勢や気候の多様さは花の多様さにもつな がります。緯度の高いところでは、日本では高山植物とされる山野草に平地 で出会えるチャンスもあります。 早春の野草から、鮮やかな夏の花々、そして優しげに揺れる秋の菊まで、 花盛りの続く西海岸で花物語の旅を満喫なさいませんか。

青空の輝きとやわらかな山並に包まれた花の公園を訪ねる

バンクーバーはカナダ第3の大都市だが、 1886年に人口2000人で市が誕生して 以来、都市の発展と自然環境保護の調和 に市民は努力をおしまない。海と山、深 い森に囲まれて、公園から住宅、公共施 設の広場、お店やレストランの周辺まで、 花と緑がいっぱいなのもそのためだ。

「世界一暮らしやすい都市」の花歩き

バンクーバーは、西から南にかけては穏やかな海、東から北にかけ ては柔らかな稜線を描く山々に囲まれ、世界で最も自然に恵まれた美 しい都市の一つだ。都市計画の基本も「公園と緑地帯」に置いている ほど。二月になればクロッカスが咲き始め、春の足音が聞こえてくる。 水仙や紅スモモが咲き始めれば、夏の終わりまで次々と様々な花盛り が続く。バン・デューセン植物園でラバーナムの木陰を散歩するのも 楽しいし、バラ園の向こうにジョージア海峡のフィヨルドが広がる、 ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)もぜひ訪れたいところ。し かし、バンクーバーの花歩きが本当に楽しいのは住宅街の散策。街路 樹や個人の住宅の庭など を眺めながらゆったりと 散策してみよう。バンク ーバーは北緯49度と緯度 の高い所に位置している ので、日本なら高山でな けなければ見られないよ うな野草が道端にひっそ り咲いていることもある。 そんな思いがけない「発 見」が旅に深みを加えて くれるだろう。 なお、市内の花散歩は 市バスを利用して手軽に できる。スカイトレイン の駅の自動販売機やFare Dealerというサインのあ る売店などで、一日乗り 放題の「デイパス」と路 線図を購入すると便利。

バン・デューセン植物園

VanDusen Botanical Garden

ラ バ ー ナ ム の た お や か な 花 陰 で 憩 う …

北米を代表する園芸専門誌、『ホリティカルチャー』が世界で最も優れた 植物園の一つとして挙げたのが、バンクーバー市のほぼ中央部に広がるバ ン・デューセン植物園。22ヘクタールの敷地には英国の伝統的様式のバラ 園から、両岸に野草の咲き乱れるせせらぎ、針葉樹の深い森、青鷺が舞い 降りる蓮池まで、ゆるやかな丘陵に様々な花や木々が植えられている。四 季それぞれに美しい表情を見せるこの植物園は、早春の木蓮から、春の盛 りを彩るしゃくなげやラバーナム、晩春に可憐な青い花を咲かせるヒマラ ヤン・ブルー・ポピーなどで有名。夏になれば紫陽花の華やかさや、高原 を思わせる野草の花盛りを楽しむことができる。また、この植物園には60 種以上の野鳥が集まって来るので、バード・ウォッチャーにも人気がある。

バン・デューセン植物園は20分コースから2時間のコース まで、おすすめの散策ルートが地図に示されている。

この植物園は1960年までゴルフ場だった。その土地 を住宅地として再開発する計画が発表されたとたん、バ ンクーバー市民は普段の温和な土地柄からは想像もでき ないほど激しい反対運動を展開した。地元の実業家、バ ン・デューセン氏の資金援助もあって、この土地は 1975年、市民の希望通り植物園として生まれ変わった。 市民の支えた植物園建設の伝統は今でも続いており、毎 年800人以上のボランティアが運営に参加している。肥 料の選択などの本格的なガーデニング講座から、スキン ケアにぴったりのハーブのクラスまで、数多くの講習会 が一年を通して催されている。ウェブサイトなどで日程 を調べ、事前に申し込めば旅行者でも参加できる。また 団体で申し込めば、特別講習会のアレンジも可能だ。


5251 Oak St., Vancouver, BC
アクセス: 市バス17番、W. 37th St.下車
TEL:604-878-9274 FAX:604-266-4236
講習会やガイド付園内ツアーの問い合わせは:TEL:604-257-8666
開園時間、入園料はホームページより:http://vandusengarden.org/plan-your-visit/hours-admission/


ラバーナムの小道

鮮やかな黄色の花がまるで高い木全体から流れ落 ちるように咲くラバーナムは、春の花のなかでも桜 と並んで最も印象的なものの一つ。バン・デューセ ン植物園にはこのラバーナムが両側に並んだ小道 があり、花影の椅子に座って晩春の爽やかな風を 味わうのはカナダの旅の素敵な思いでになるだろ う。開花は5月から6月にかけて。

しゃくなげの小道

ブリティッシュ・コロンビア州の沿岸部は 枝振りのおおきな、あでやかなしゃくなげ が多いことで有名。バン・デューセン植物 園のしゃくなげの小道には数多くの交配種 が植えられており、花の色や形なども変化 に富んでいる。なお、カナダの自生植物を 集めたこのエリアでは、しゃくなげやツツ ジのカナダ独自の交配種もみることができ る。開花は4月から5月にかけて。

シノ・ヒマラヤン・ガーデン

19世紀、英国の王室や貴族たちの中に は、中国奥地やヒマラヤに探検隊を派遣 し、自分達の庭を飾る珍しい植物を集め させた人々がいた。このエリアには、そ うした「花探検家」の活動で世界に 知られるようになった植物が集め られている。幻想的な青い花びら のヒマラヤン・ブルー・ポピーやモ クレンなども、このエリアにある。

クイーン・エリザベス公園

Queen Elizabeth Park

朝 の 散 歩 な ら こ こ が お す す め

標高152mの「リトル・マウンテン」に広がる公園。水仙、コブシ、桜、チューリップなど、どの季節もカラフルな花で彩られている。ここ は、バンクーバー市内で一番の高台なので、ノースショアの山々を背景にした旅の記念撮 影にぴったり。かつては道路の石畳用の石切り場だった所だが、その採石跡はみごとなサンクン・ガーデン(沈床庭園) に生まれ変わっている。この庭園の花や木々の色や配置の ハーモニーの素晴らしさを味わうには上から 見渡すのがおすすめ。リトル・マウンテンの頂上には円形ドームのブローデル温室がある。

スタンレー公園

Stanley?Park

自 然 の 中 を の ん び り 散 策

ダウンタウンの西端にある405ヘクタ ールの広大な公園。海に面したこの公園 のほとんどは深い森におおわれている。 山野草が咲き、野鳥の楽園になっている 池から、バラを中心にした華麗な花壇、 水族館、動物園などが木立の間に点在す る。公園の周辺を巡る海岸沿いの遊歩道 兼サイクリング道路もあり、ここをゆっく り散策するのはバンクーバー市民のお気 に入りの週末の過ごし方の一つ。

州立ブリティッシュ・ コロンビア大学付属植物園

UBC Botanical Garden

人 間 と 植 物 の や さ し い 触 れ 合 い も 研 究 す る 植 物 園

カナダ屈指の名門大学の付属植物園。農学部の研究施設だが、園 内には花や樹木を愛する人々の穏 やかな心使いが満ちている。世界各地から集められた1万種以上の植物が植えられており、春は深い森の 中に400種以上のしゃくなげが咲く アジア庭園の小道、初夏からは山 岳地帯の地形を再現した高山植物園が人気。16世紀の修道院の庭を模したハーブ・ガーデンや、ブリテ ィッシュ・コロンビア州自生の植物を集めたエリアもぜひ訪れたい。 また、植物園から3キロほど西には、ブリティッシュ・コロンビア州で客死した新渡戸稲造博士を記念し て作られた和風庭園もある。「純日 本風」とは違うが、桜の美しさや菖 蒲の鮮やかな色合い、苔の微妙な緑、そして庭を包むようにして繁る アメリカ杉の荘厳さが織りなす、独特の癒しの雰囲気がある。さらにUBCの構内には、クラシカ ルな作庭デザインのバラ園もある。 花壇の向こうにはジョージア海峡が見渡せ、雄大な風景とあでやかな花との対比が印象的だ。

温帯雨林の深い森で 大自然の神秘と出会う

カナダでは、巨大な木を「ジェントル・ジャイアント」(優しい巨人)と 表現することがよくある。バンクーバー周辺の森林公園を訪ねれば、 その言葉がぴったりの静かな巨木に出会うことができる。ゆっくり遊 歩道を歩きながら、木々の語りかける物語を聞いてみよう。

 

キャピラノ渓谷

ノース・バンクーバーのキャピラノ渓谷は、ノースショ アの山々から流れ出る雪解け水をたたえた川沿いに針葉 樹の深い森が続いている。谷底から70メートルの高さの ところに掛けられた吊り橋、キャピラノ・サスペンション ブリッジは、バンクーバーで最も人気のあるみどころの 一つ。温帯雨林の美しさにひたるなら、渓谷のあちこちに 続いているネイチャー・トレイルを判りやすい標識に従っ て歩いてみよう。鮭の孵化場なども見学できる。

リン渓谷

ノースバンクーバーにあるこの公園を訪れるなら、温帯 雨林特有の生態系をわかりやすく解説したエコロジー・セ ンターからスタートしよう。公園内で出合える野生動物、野 草などの情報や園内地図もここで入手できる。リーン川の 上空50メートルのところに掛けられた吊り橋を渡れば、小 さいけれど神秘的な滝や、水芭蕉の咲く湿地をめぐるトレ イルに出る。上流へ向えば、エメラルド色の美しい流れを 川原から眺めることもできるので、ランチ持参がおすすめ

ライトハウス公園

バンクーバーの近郊で最も大きな木々を見ることが できるのが、ウエスト・バンクーバーにあるライトハウ ス公園。杉などの巨木が並ぶ深い森を抜けると、クラ シカルなポイント・アトキンソン灯台が現れ、イングリ ッシュベイとジョ ージア海峡を見 渡せる展望エリ アに出る。「View Point」というサ インを見逃さな いようにしよう。 公園内には森林 浴をたっぷり楽 しめる遊歩道が あり、軽いハイキ ング気分を味わ うこともできる。

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