花いっぱいのバンクーバーを散策

FLOWER

バンクーバーやビクトリアは、冬でも温暖な気候に恵まれています。

2月にはカラフルなクロッカスが咲き始め、水仙、桜、ライラックと次々と花盛りがつづきます。とりわけしゃくなげの美しさは世界的に知られています。

英国の伝統を受け継いで、ガーデニングも人々の暮らしの大切な一部。町のあちこちで自然が大切に守られ、可憐な山野草も身近に感じられます。

バンクーバーから車で1時間ほど東へ行けば、壮麗な山並みに囲まれた広大な渓谷が現れ、それを越えると果樹園やワイン用のブドウがたわわに実る半砂漠地帯が続いています。

また海岸沿いに北へ向かえば、深い針葉樹林の森がどこまでも広がっています。地勢や気候の多様さは花の多様さにもつな がります。

緯度の高いところでは、日本では高山植物とされる山野草に平地 で出会えるチャンスもあります。

早春の野草から、鮮やかな夏の花々、そして優しげに揺れる秋の菊まで、 花盛りの続く西海岸で花物語の旅を満喫なさいませんか。

春になると4万本以上の桜で埋め尽くされる街「バンクーバー」

毎年春になると日本では桜の開花状況がニュースで流れ、楽しみにしているお花見。

ここバンクーバーも1930年代に日本から贈られた桜が、今では街のいたるところに4万本以上の桜が毎年満開に咲きます。

主な名所は、スタンレーパーク、クイーンエリザベスパーク、バンヂューセン植物園、バニエイパークなどで、染井吉野、八重桜など4月の上旬から5月上旬ごろまで長い間桜を楽しめるのもバンクーバーならでは。

ダウンタウン内ならバラード駅沿いの桜も見ごたえ十分。

ダウンタウンを背にクリークサイドに咲く桜(カナダ・バンクーバー)
スタンレーパークの桜(カナダ・バンクーバー)
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青空の輝きとやわらかな山並に包まれた花の公園を訪ねる

バンクーバーはカナダ第3の大都市ですが、 1886年に人口2000人で市が誕生して以来、都市の発展と自然環境保護の調和に市民は努力をおしまないでいます。

海と山、深い森に囲まれて、公園から住宅、公共施設の広場、お店やレストランの周辺まで、 花と緑がいっぱいなのもそのためです。

「世界一暮らしやすい都市」の花歩き

バンクーバーは、西から南にかけては穏やかな海、東から北にかけては柔らかな稜線を描く山々に囲まれ、世界で最も自然に恵まれた美しい都市の一つです。

都市計画の基本も「公園と緑地帯」に置いているほど。

2月になればクロッカスが咲き始め、春の足音が聞こえてきます。 水仙や紅スモモが咲き始めれば、夏の終わりまで次々と様々な花盛りが続きます。

バン・デューセン植物園でラバーナムの木陰を散歩するのも楽しいし、バラ園の向こうにジョージア海峡のフィヨルドが広がる、 ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)もぜひ訪れたいところ。

し かし、バンクーバーの花歩きが本当に楽しいのは住宅街の散策。街路樹や個人の住宅の庭などを眺めながらゆったりと散策してみよう。

バンクーバーは北緯49度と緯度の高い所に位置しているので、日本なら高山でなけなければ見られないような野草が道端にひっそり咲いていることもあります。 そんな思いがけない「発見」が旅に深みを加えてくれます。

市内の花散歩は市バスを利用して手軽にできます。スカイトレインの駅の自動販売機やFare Dealerというサインのある売店などで、一日乗り放題の「デイパス」を購入すると便利。

バン・デューセン植物園

VanDusen Botanical Garden

ラ バ ー ナ ム の た お や か な 花 陰 で 憩 う …

北米を代表する園芸専門誌、『ホリティカルチャー』が世界で最も優れた植物園の一つとして挙げたのが、バンクーバー市のほぼ中央部に広がるバン・デューセン植物園。

22ヘクタールの敷地には英国の伝統的様式のバラ園から、両岸に野草の咲き乱れるせせらぎ、針葉樹の深い森、青鷺が舞い降りる蓮池まで、ゆるやかな丘陵に様々な花や木々が植えられています。

四季それぞれに美しい表情を見せるこの植物園は、早春の木蓮から、春の盛りを彩るしゃくなげやラバーナム、晩春に可憐な青い花を咲かせるヒマラヤン・ブルー・ポピーなどが有名です。

夏になれば紫陽花の華やかさや、高原を思わせる野草の花盛りを楽しむことができます。

また、この植物園には60種以上の野鳥が集まって来るので、バード・ウォッチャーにも人気があります。

バン・デューセン植物園は20分コースから2時間のコース まで、おすすめの散策ルートが地図に示されている。

この植物園は1960年までゴルフ場でした。その土地を住宅地として再開発する計画が発表されたとたん、バンクーバー市民は普段の温和な土地柄からは想像もできないほど激しい反対運動を展開しました。

地元の実業家、バン・デューセン氏の資金援助もあって、この土地は1975年、市民の希望通り植物園として生まれ変わりました

市民の支えた植物園建設の伝統は今でも続いており、毎年800人以上のボランティアが運営に参加しています。

肥料の選択などの本格的なガーデニング講座から、スキンケアにぴったりのハーブのクラスまで、数多くの講習会が一年を通して催されています。

ウェブサイトなどで日程を調べ、事前に申し込めば旅行者でも参加できます。また 団体で申し込めば、特別講習会のアレンジも可能です。

ラバーナムの小道

鮮やかな黄色の花がまるで高い木全体から流れ落 ちるように咲くラバーナムは、春の花のなかでも桜と並んで最も印象的なものの一つ。

バン・デューセ ン植物園にはこのラバーナムが両側に並んだ小道 があり、花影の椅子に座って晩春の爽やかな風を 味わうのはカナダの旅の素敵な思いでになるだろ う。開花は5月から6月にかけて。

しゃくなげの小道

ブリティッシュ・コロンビア州の沿岸部は枝振りのおおきな、あでやかなしゃくなげが多いことで有名。

バン・デューセン植物園のしゃくなげの小道には数多くの交配種が植えられており、花の色や形なども変化 に富んでいます。

カナダの自生植物を集めたこのエリアでは、しゃくなげやツツジのカナダ独自の交配種もみることができます。開花は4月から5月にかけて。

シノ・ヒマラヤン・ガーデン

19世紀、英国の王室や貴族たちの中には、中国奥地やヒマラヤに探検隊を派遣し、自分達の庭を飾る珍しい植物を集めさせた人々がいました。

このエリアには、そうした「花探検家」の活動で世界に知られるようになった植物が集められています。

幻想的な青い花びら のヒマラヤン・ブルー・ポピーやモクレンなども、このエリアにあります。


5251 Oak St., Vancouver, BC
アクセス: 市バス17番、W. 37th St.下車
TEL:604-878-9274 FAX:604-266-4236
講習会やガイド付園内ツアーの問い合わせは:TEL:604-257-8666
開園時間、入園料はホームページより:http://vandusengarden.org/plan-your-visit/hours-admission/


クイーン・エリザベス公園

Queen Elizabeth Park

朝 の 散 歩 な ら こ こ が お す す め

標高152 mの「リトル・マウンテン」に広がる公園。

水仙、コブシ、桜、チューリップなど、どの季節もカラフルな花で彩られています。

ここは、バンクーバー市内で一番の高台で、ノースショアの山々を背景にした旅の記念撮影にぴったり。

かつては道路の石畳用の石切り場だった場所ですが、その採石跡は見事なサンクン・ガーデン(沈床庭園) に生まれ変わっています。

この庭園の花や木々の色や配置のハーモニーの素晴らしさを味わうには上から見渡すのがおすすめ。

リトル・マウンテンの頂上には円形ドームのブローデル温室もあります。

スタンレー公園

Stanley?Park

自 然 の 中 を の ん び り 散 策

ダウンタウンの西端にある405ヘクタール(外周約10km)の広大な公園。

海に面したこの公園のほとんどは深い森におおわれています。 山野草が咲き、野鳥の楽園になっている池から、バラを中心にした華麗な花壇、 水族館、動物園などが木立の間に点在しています。

公園の周辺を巡る海岸沿いの遊歩道兼サイクリング道路もあり、ここをゆっくり散策するのはバンクーバー市民のお気 に入りの週末の過ごし方の一つ。

州立ブリティッシュ・ コロンビア大学付属植物園

UBC Botanical Garden

人 間 と 植 物 の や さ し い 触 れ 合 い も 研 究 す る 植 物 園

カナダ屈指の名門大学の付属植物園。

ここは農学部の研究施設ですが、園内には花や樹木を愛する人々の穏やかな心使いが満ちています。世界各地から集められた1万種以上の植物が植えられています。

春は深い森の中に400種以上のしゃくなげが咲くアジア庭園の小道、初夏からは山岳地帯の地形を再現した高山植物園が人気です。

16世紀の修道院の庭を模したハーブ・ガーデンや、ブリティッシュ・コロンビア州自生の植物を集めたエリアもぜひ訪れたい。

植物園から3キロほど西には、ブリティッシュ・コロンビア州で客死した新渡戸稲造博士を記念し て作られた和風庭園もあります。「純日本風」とは違いますが、桜の美しさや菖蒲の鮮やかな色合い、苔の微妙な緑、そして庭を包むようにして繁るアメリカ杉の荘厳さが織りなす、独特の癒しの雰囲気があります。

さらにUBCの構内には、クラシカ ルな作庭デザインのバラ園もあります。花壇の向こうにはジョージア海峡が見渡せ、雄大な風景とあでやかな花との対比が印象的です。

温帯雨林の深い森で 大自然の神秘と出会う

カナダでは、巨大な木を「ジェントル・ジャイアント」(優しい巨人)と表現することがよくあります。

バンクーバー周辺の森林公園を訪ねると、 その言葉がぴったりの静かな巨木に出会うことができます。ゆっくり遊歩道を歩きながら、木々の語りかける物語を聞いてみましょう。

キャピラノ吊り橋に隣接する無料の吊り橋『リン渓谷』

ノースバンクーバーにあるこの公園を訪れるなら、温帯雨林特有の生態系をわかりやすく解説したエコロジー・センターからスタートしよう。

公園内で出合える野生動物、野草などの情報や園内地図もここで入手できます。

リーン川の上空50メートルのところに掛けられた吊り橋を渡れば、小さいけれど神秘的な滝や、水芭蕉の咲く湿地をめぐるトレイルに出ます。

上流へ向うと、エメラルド色の美しい流れを 川原から眺めることもできるので、ランチ持参がおすすめです。

ライトハウス公園

バンクーバーの近郊で最も大きな木々を見ることができるのが、ウエスト・バンクーバーにあるライトハウス公園。

杉などの巨木が並ぶ深い森を抜けると、クラ シカルなポイント・アトキンソン灯台が現れ、イングリ ッシュベイとジョ ージア海峡を見渡せる展望エリアに出ます。

「View Point」というサ インを見逃さな いようにしよう。

公園内には森林浴をたっぷり楽しめる遊歩道があり、軽いハイキ ング気分を味わうこともできます。